メンタルブロックは、外すものではなく、仕分けるもの

昇進の話が来た。初めて有料の依頼を受けた。願っていたことが形になりそうになったとたんに怖くなって、返事を延ばしている。「メンタルブロックがあるから受け取れない」「外せば叶う」と言われ、外すためのワークも試したのに、まだ怖い。先に答えます。メンタルブロックと呼ばれているものの多くは、うまくいきそうな場面で出る怖さやためらいです。外れたかどうかは確かめられませんが、中身を仕分けることはできます。

うまくいく直前ほど怖くなることには、説明できる部分があります。結果が決まる直前は、いちばん決まっていない瞬間でもある。人は、手に入るものより、失いそうなもののほうを大きく見積もりやすい。怖くなるのは、あなたの中に壊れた部分があるからではありません。

この記事は、ブロックを外せば願いが叶う、お金が入る、成功する、とは書きません。書くのは、怖さの中身を4つに分けて、怖いまま出せる次の一手を1つ決める方法です。お金の願いに絞った仕分けはお金の引き寄せが叶わないのはなぜかに、変わろうとすると元に戻る、という説明の検討はホメオスタシスと変化に分けました。

「メンタルブロック」という言葉が指しているもの

メンタルブロックは、編集部の知る範囲では心理学の診断名ではなく、日本でよく使われる言い方です。スピリチュアルや自己啓発では、潜在意識にある制限、豊かさを受け取れない原因、といった意味で使われます。りゅう自身も「お金面でのマインドブロック」という言い方をすることがあります(2026年9月5日の本人発言)。言葉そのものを退ける記事ではありません。

ただ、ブロックは測れないので、外れたかどうかを確かめる方法がありません。叶わない限り「まだ残っている」と言えてしまい、外すためのワークが終わらなくなります。この形の説明に終わりがない理由は、原因を願いの側に置くか、行動の側に置くかの比較に書きました。このページでは、うまくいきそうな場面で出る怖さ、ためらい、手が止まることという意味で使います。これなら、いつ、どの場面で出たかを書き出せます。

叶う直前ほど怖くなるのは、壊れているからではない

この順番には、研究で確かめられている部分があります。デ・バーカーらの研究(2016)は、参加者に画面の図形と軽い電気ショックの対応を学習してもらい、主観的なストレス、瞳孔の大きさ、皮膚の電気反応を記録し、唾液中のコルチゾールでストレス反応が起きていることも確かめました。3つの指標はどれも、ショックが来るかどうかの分からなさ、つまり取り除けない不確かさの推移に沿って動いていました。

実験室で電気ショックを使った研究で、願いや昇進を調べたものではありません。それでも、決まっていない状態そのものが、体と気持ちの負荷になるという筋道は示されています。叶う直前に怖くなるのは、ブロックが残っている証拠ではなく、決まっていないことへの反応として説明がつきます。

怖さの変わり方を調べた研究もあります。フェンツとエプスタインの研究(1967)は、パラシュート降下の初心者と経験者について、跳ぶまでの一連の場面で、皮膚の電気反応、心拍数、呼吸数を続けて記録しました。初心者では、跳ぶ高度に達するまで反応が急に上がり続けました。経験者では、先に上がって、そのあと下がる山形になりました。著者らは、脅威に繰り返し向き合ううちに、警報の反応と、それを抑える反応の両方が育ち、抑える側のほうが急に立ち上がるようになる、と結論づけています。

1960年代の特殊な場面で体の反応を測った研究で、日常の挑戦や願いを調べたものではありません。持ち帰れるのは1点です。経験を積んでも怖さは消えていない。早く来て、早く引く形に変わっている。怖さがあるうちはブロックが外れていない、という読み方は、この研究からはできません。

成功したら失うもの、が大きく見える

うまくいく直前に浮かぶのは、手に入るものより、失いそうなもののことです。トベルスキーとカーネマンの論文(1991)は、人の選択が今いる基準点に左右され、失うことのほうが得ることより大きく選択に響く、という前提で理論を組み立てました。損失回避と呼ばれる考え方で、多くの実験結果の説明に使われています。

経済学の理論で、成功や昇進を前にした怖さを調べたものではありません。それでも、叶う直前に、失うものの一覧だけが濃く見えることは、あなたの弱さではなく、人の見積もりの偏りとして説明できます。

失ったあとの気持ちについても、研究があります。ギルバートらの研究(1998)は、恋人との別れ、選挙での落選、採用試験での不採用などのあと、どのくらい落ち込むかを参加者に予想してもらい、実際と比べました。参加者は、落ち込みが続く長さを実際より長く見積もっていました。著者らは、嫌な気持ちを和らげる心の働きを、予想のときには計算に入れないからだ、と説明しています。失ったあとを調べた研究で、成功したあとを調べたものではありません。ただ、「あれを失ったら耐えられない」という予想は、当たらないことがある、という材料にはなります。

りゅうにも、失うと思っていたものの話があります。起業した頃、友達付き合いや飲み会を全部手放して仕事に向かった時期のことを、受講生との対談でこう話しています(2026年6月11日の本人発言。前後を省いています)。

友達いなくなるんじゃないかとか思ったけど、「いやいや、まあいいや」って手放したら、結局友達がいなくなるなんてなくて。1年後2年後とかに、どんどん友達から誘いが来るようになって、結局戻ってくる。

インプットと手放しについて語った言葉で、成功の怖さについて話したものではありません。本人の経験で、誰にでも戻ってくるという意味でもありません。それでも、失うと思っていたものの中に、あとで戻ってくるものが混ざっている、という見方は、一覧を見直すときに使えます。

りゅうの見立て:止まっているのは、怖さだけではない

脳質改善を提唱するりゅうは、引き寄せを否定していません。「引き寄せについては、今も信じています」と話し、「多くの人は、引き寄せを現実にするための手段を間違えていると思います」と答えています(2026年7月17日の本人回答)。

では、うまくいきそうな場面で止まっている人の中で、何が起きているのか。りゅうは、これまで関わってきた人の中で、変えられない人に共通していたものを聞かれ、「完璧主義とかこだわりの強さかな」と答え、その頭の中で起きていることをこう見立てています(2026年9月17日の本人回答)。

自分の中の100点を取ろうとしている。ただ、自分の中の100点が何かもわからないまま100点を目指している場合もあるから良くない。

実際に見た場面としては、編集部が示した候補から「準備が終わらない・世に出してこない」を選び、「ほとんどの場合は1〜2個しかないはずなのに、全てに完璧主義になってる人が多い」とも話しています。完璧主義について語った言葉で、メンタルブロックについて話したものではありません。それでも、ブロックと呼ばれている停止の中には、怖さだけでなく、自分の中の100点を待っている時間が混ざっている、という見方は、この記事の仕分けにそのまま使えます。りゅう自身については、完璧主義だった時期を聞かれて「全くない。僕は行動して世に出す(動き出す)ことが正解だと思ってるから」と答えています。提出前の100点待ちのほどき方は完璧主義で提出できないときにあります。

「ブロック」と呼ばれているものを、4つに分ける

画面が狭い場合は、表を左右にスクロールできます。

ブロックと呼ばれているものその場面で浮かぶ言葉言えること自分の担当
決まっていないことへの反応「うまくいかなかったらどうしよう」「本当に自分でいいのか」決まっていない状態そのものが負荷になる、という研究がある何が決まっていないかを1行書き、決まる日か、確かめる方法を横に書く
失うものの計算「今の気楽さがなくなる」「周りに何か言われる」失うことは得ることより大きく見えやすい。失ったあとの落ち込みは、予想より短いことがある失うと思っているものを書き、絶対に手放せない1〜2個と、あとで戻ってきそうなものに分ける
自分の中の100点待ち「もう少し整えてから」「まだ人に見せる段階じゃない」100点が何かわからないまま100点を目指している、というりゅうの見立て出す基準を先に決める。80点で出す、日付で出す
実際に足りていない準備「やり方が分からない」「何から手をつければいいか」ブロックではなく、作業。確かめれば埋まる分からないことを1つ書き、調べる先か、聞く相手を1人決める

この表は編集部の整理です。右端の列をやれば願いが叶う、という意味ではありません。4つとも、あなたの欠陥ではなく、うまくいきそうな場面なら誰にでも出るものです。

架空の例:昇進の返事を2週間延ばしているHさん

編集部が作った架空の例です。実在の相談や、受講生の事例ではありません。

Hさんは、上司から係長への昇進を打診され、返事を2週間延ばしています。望んでいたはずなのに、話が来たとたん、胃のあたりが重くなりました。「豊かさを受け取れないのはブロックがあるから」と読んでワークを2つ受け、言われたのは「まだ深いところに残っている」。

Hさんの怖さを4つに分けます。決まっていないこと。自分に部下の面倒が見られるか、今の仕事量に上乗せされるのか。失うもの。定時で帰れる今の暮らし、同期との気楽な関係、「まだ本気を出していない」という余地。100点待ち。「もっと経験を積んでからでないと」と、いつになれば足りるのかを決めないまま延ばしていた。足りない準備。係長の実際の業務範囲と残業の実態を、誰にも聞いていなかった。

Hさんが選んだのは、足りない準備の欄でした。先に係長になった先輩を1人選び、業務範囲と帰る時間を聞く。それだけを、返事の前にやると決めました。昇進を受けたか、受けてうまくいったかは、この例では分かりません。変わったのは、「ブロックが残っている」という1語が、確かめられる質問1つと、失いたくないもの2つの名前に置き換わったことです。

今日できる1つの動作。怖さが出た場面を4つに分けて、次の一手を1つ決める

  1. 怖さが出た場面を1行書く。「〜と言われたとき」「〜の画面を開いたとき」の形で。「自分にはブロックがある」とは書きません。
  2. そのとき浮かんだ言葉を、表の4つの欄に振り分ける。迷ったら「決まっていないこと」に入れます。
  3. 失うものの欄だけ、もう1手間かける。絶対に手放せないものに印をつけ、残りに「戻ってくるかもしれない」と書き添えます。印は1〜2個で足ります。
  4. 5分で終わる次の一手を1つ決め、怖さを消さずにやる。決まっていないことを1つ確かめる。人に1つ聞く。出す日付を決める。怖さの点数は、前後で測りません。

怖さが出たあとに何をするかだけが、あなたの担当です。起きたことと受け取り方を分ける書き方は事実と解釈を分ける方法に、怖くなった自分を責め始めたときは自己否定をやめたいときに、「いつ、どこで」を1文にする書き方はIf-Thenプランの作り方にあります。

この記事が約束しないこと

このとおりにすればブロックが外れる、願いが叶う、お金が入る、成功する、とは書きません。怖さを消してから動く方法も勧めません。ブロックの原因を、あなたの育ちや過去に求める説明も採りません。引用した研究は、どれもメンタルブロックや願いの実現を調べたものではありません。りゅうの発言は本人の見立てで、メンタルブロックについて語ったものではない部分を含みます。

捉え方や行動の土台から見直したい方は、無料セミナーの内容を確認することができます。セミナーはブロックを外す方法を教えるものではありません。怖さや不安が頭から離れず、気分の落ち込みや眠れない状態が続く、生活に支障が出ているときは、ブロックの問題として抱え込まず、医療機関や公的な相談窓口への相談を優先してください。脳質改善は医療ではなく、この記事は診断や治療ではありません。

よくある質問

メンタルブロックを外せば、願いは叶いますか?

そうは書きません。ブロックが外れたかどうかを確かめる方法がなく、外すことと願いの実現の関係を確かめた研究も、編集部は確認できていません。りゅうは引き寄せを肯定していますが、願うだけで叶うとは考えておらず、行動が要るという立場です。

メンタルブロックの原因は、子どもの頃の経験や前世にあると言われました。

この記事は、原因を育ちや過去、前世に求める説明を採りません。確かめる方法を、編集部は持っていないからです。ただ、原因を確かめられない場所に置くと、外れたかどうかも確かめられなくなります。確かめられるのは、怖さが今どの場面で出て、何を止めているかです。

怖さが消えてから動いたほうがいいですか?

この記事は勧めません。パラシュート降下の経験者を調べた研究では、怖さの反応は経験を積んでも出ていて、早く来て早く引く形に変わっていました。怖さが消えるのを待つと、決まっていない状態が続き、それ自体が負荷になります。怖さを消さずに、5分で終わる次の一手を1つ決めるほうを提案しています。

ブロックを外すためのワークやセッションは、受けたほうがいいですか?

この記事は、特定の手法や講座を勧めも止めもしません。判断の材料は2つです。受けて、確かめられる行動が1つ増えたか。「まだ残っている」という説明と一緒に、追加の支払いを求められていないか。後者なら、その場で決めずに持ち帰ってください。

怖さは、外す相手ではなく、読む材料

うまくいきそうな場面で怖くなった自分を、今日から責めなくてかまいません。怖さは、ブロックが残っている印ではなく、決まっていないことと、失いそうなものの一覧です。4つに分けて、絶対に手放せないものに印をつけ、次の一手を1つ。怖いままで、十分に動いています。

引き寄せが効かなかった理由の整理は引き寄せの法則は効果がないのかに、願いを動かせることと動かせないことに分ける手順は願いが叶わないのはなぜかに、よく言われる主張を1件ずつ確かめた一覧はよくある誤解の検証にあります。