比較的言いやすいことと、そのまま科学的事実とは言えないこと

脳質改善が扱う話題には、研究から比較的言いやすいものと、そう言い切るには根拠が足りないものが混ざっています。 先に、その境目を並べます。

比較的言いやすいこと

  • 人の行動には、意識して決める過程だけでなく、自動的・非意識的な処理も関わる
  • 同じ文脈で同じ行動を繰り返すと、行動が習慣化しやすくなる
  • 注意は、行動に関係する刺激の処理を選択的に強める
  • 「いつ・どこで・何をするか」を具体化する実行意図は、目標達成を助ける研究がある

そのまま科学的事実とは言えないこと

  • 願えば宇宙や量子の力で出来事そのものが引き寄せられる
  • RASを設定すれば、望む現実が自動的に実現する
  • アファメーションを一定日数続ければ、脳が必ず再配線される
  • ホメオスタシスが人生の変化を止める「脳のブレーキ」である
  • 特定のワークだけで、心身の問題や睡眠の問題が治る
右を「間違いだ」と証明したわけではありません。そう書けるだけの一次資料を、私たちが確認できていないという意味です。確認できるまでは、根拠としては使いません。

RASと注意は同じ説明ではない

網様体賦活系は、覚醒や睡眠・覚醒の調整に関わる神経系として知られます。一方、選択的注意は複数の脳ネットワークに関わる複雑な機能です。 「赤い車を意識すると見つけやすい」という現象を、RASだけが願望に合う情報を選ぶ機能だと説明するのは単純化しすぎです。

ホメオスタシスは、生理学の言葉

ホメオスタシスは、体温・血糖・電解質など、身体内部を一定範囲に保つ調整を説明する概念です。 「人は変化を嫌う」という心理現象の万能な原因として使うと、研究上の意味から離れます。 習慣や現状維持を説明するときは、学習、文脈、損失回避など、より直接的な概念を選びます。意識していない処理についても同じで、日常語の「潜在意識」と学術用語の「無意識」を分けて使います。分け方は潜在意識と無意識の違いにあります。