「運が悪い」には、3種類の話が混ざっている

運が悪いと感じる理由は、1つではありません。偶然そのもの起きたことのうち何に気づき、何を覚えているか何回試したか。この3つが「運」という1語にまとめられています。偶然は誰にも操作できません。残りの2つには、自分の側で動かせる余地があります。

お祓いに行った。部屋を浄化した。財布を新調した。それでも変わらず、「自分は運が悪い人間なのだ」と思い始めている。そういう人へ先に伝えたいのは、変わらなかった理由をあなたの信じ方や波動の低さに戻す説明を、この記事は採らないということです。開運を試したこと自体も否定しません。

約束できる範囲も先に書きます。この記事を読んでも、運は良くなりません。扱うのは、見落としを減らすための記録と、今日できる1動作までです。

りゅうの立場|運で決まったことに、自分の能力を持ち込まない

脳質改善を提唱するりゅうは、2026年8月16日の収録で、運についてこう話しています(以下、本人の言葉は、言いよどみと文頭のつなぎの言葉だけを省いています)。「運で決まったことに自分の能力を持ち込むと、何年も引きずる。それは一旦、分かっておいた方がいい。」

編集部の言葉で言い換えます。たまたま時期が悪かった。たまたま相手の都合が合わなかった。そこへ「自分に力がないからだ」を足すと、終わったはずの出来事が長く残ります。反省する場所を間違えている、ということです。

同じ発言の続きで、りゅうは「運は後から人生よくできるんで。」とも言っています。これは本人の見立てで、運が良くなるという約束としては扱いません。編集部は、起きた偶然は変えられなくても、その後に何を選ぶかは自分の側に残る、という意味で受け取っています。

逆向きの押し付けにも、りゅうは同意していません。スピリチュアル自体は否定しない一方で、原因をすべて波動や宇宙に預ける説明とは距離を置いています(本人の言葉はスピリチュアルに疲れた人へに載せています)。全部を自分のせいにしない。全部を見えないもののせいにもしない。残る作業は、どこまでが偶然で、どこからが自分で動かせる範囲かを分けることです。

線の引き方として、りゅうは宝くじを例に挙げています。宝くじが当たるかどうかは「もう自分の範囲外のこと」。一方で「来週までに10万円用意する」のような目標が叶ったなら、「きっと何かしらの行動を起こしてて、それが再現性になったりするかなと思う。」(2026年8月8日の本人回答)。

偶然・気づき・試す回数の仕分け表

次の表は、りゅうの線引きを日常で使えるようにした編集部の整理です。学術的な分類ではありません。

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区分自分で動かせるかできること
偶然で決まること抽選の結果、天気、電車の遅延、相手のその日の都合、景気動かせない運の話として終わらせる。自分の能力の評価に足さない
気づきで変わること募集の案内、身近な人の一言、掲示、期限が延びた知らせ一部は動かせる記録して見落としを減らす。気づいても、結果が良くなるとは限らない
試す回数で変わること応募する、問い合わせる、声をかける、作品を出す動かせる回数を1回増やす。1回ごとの当たり外れには偶然が残る

多くの出来事は、1つの区分に収まりません。面接に落ちたとき、その日の面接官との相性は偶然で、応募した社数は試す回数です。1つの出来事を区分ごとにばらすのが、この表の使い方です。

「ついてない」が続いて見えるのはなぜか

最初に、偶然そのものの性質があります。偶然の出来事は、均等には並びません。コインを20回投げると、同じ面が4回以上続く並びは約77%の確率で現れます。これは編集部の計算で、表と裏が半々で出るコインを20回投げ、表か裏のどちらかが4回以上続く箇所が1度でも現れる並びを数え上げた割合です。「3日続けて悪いことが起きた」だけでは、裏で何かの力が働いている証拠にはなりません。

そのうえで、人の注意と記憶の側にも、不運が続いているように見せる傾向が報告されています。3つ挙げます。どれも「あなたの不運は気のせいだ」と言うためのものではありません。実際に悪い出来事が重なる時期はあります。

悪い出来事のほうが、重く扱われやすい

Baumeisterらのレビュー(2001)は、日常の出来事、人間関係、フィードバック、学習など広い領域で、悪い出来事が良い出来事より強い影響を持ちやすいと整理しています。ネガティビティ・バイアスと呼ばれる傾向です。同じ1日に、電車の遅延と、席を譲ってもらったことの両方があったとして、夜に「今日の出来事」として数えるのは遅延だけ、ということは起こりえます。

ただし、記憶については一方向ではありません。Walkerらのレビュー(2003)は、時間がたつと、嫌な出来事に伴う感情のほうが、良い出来事に伴う感情より薄れやすいという報告をまとめ、自伝的記憶は「悪いほうが強い」の例外だと述べています。どちらも「運」の感じ方を直接調べた研究ではなく、当てはめは編集部の説明です。

思い込みに合う出来事を拾いやすい

Nickersonのレビュー(1998)は、すでに持っている考えや予想に合う形で証拠を探し、解釈する傾向を、確証バイアスとして多くの場面から整理しています。「自分は運が悪い」という前提を持つと、信号に続けて引っかかった朝は数に入り、すんなり通れた朝は数に入らない。そういう集計が起こりえます。このレビューも運を対象にしたものではありません。

注意を向けていないものは、目の前でも見落とす

SimonsとChabrisの実験(1999)は、動いている場面で別の課題に注意を向けている人が、予想外に現れたものに気づかないことがあると報告しました。パスの回数を数える課題の最中に、画面を横切るゴリラの着ぐるみを見落とす、という実験です。課題が難しいほど、また予想外のものが注目している対象と似ていないほど、気づきにくくなりました。

注意が処理する情報を選ぶ仕組みは、神経科学のレビュー(Moore & Zirnsak, 2017)でも検討されています。よく一緒に語られるRASという言葉との関係は、RASと引き寄せの関係で分けて説明しています。

りゅうも、機会を拾えないときに起きていることを「それがチャンスだと認識できていない、なんなら、視界にすら入っていない」と話しています(2026年9月6日の本人回答)。別の回答では「チャンスとかって、絶対身近にあるから。」とも言っています(2026年8月10日の本人回答。言いよどみを除いて掲載)。これらは本人の見立てで、上の実験がそれを証明したわけではありません。

運がいい人と悪い人の違い|ワイズマンの研究で言えること、言えないこと

心理学者リチャード・ワイズマンは、自分を特に運がいい、または運が悪いと考える人を新聞や雑誌の広告で募り、集まった約400人に面接、日記、質問紙、実験を行ったと報告しています(Skeptical Inquirer誌、2003年)。

よく引用されるのが新聞の実験です。参加者に新聞を渡し、写真の枚数を数えてもらう。2ページ目には、紙面の半分を使った大きな文字で「数えるのをやめてください。この新聞には写真が43枚あります」と書かれていました。ワイズマンの報告では、運が悪いと自認する人は数え終えるのに平均で約2分かかり、運がいいと自認する人は数秒で終えました。後者はこの文に気づく傾向があった、という説明です。

ワイズマンは、運がいいと自認する人の特徴を4つにまとめています。偶然の機会を作り、気づくこと。直感に耳を傾けること。良い見通しを持つこと。不運に遭っても立て直す姿勢です。1か月の練習を課した「ラックスクール」では、参加者の80%が以前より幸せで運が良くなったと答えた、とも書いています。

この報告を読むときは、次の限界を一緒に置いてください。

  • 参加者は「自分は運がいい」「運が悪い」と名乗り出た人で、運の良し悪しは自己申告です。実際に良い出来事が多く起きたかを測ったものではありません。
  • 編集部が確認できた資料は、著書をもとにした一般向け雑誌の記事です。新聞の実験の人数や統計の詳細は、この資料からは確認できません。
  • ラックスクールの結果も自己報告で、この資料には比較のための対照群の記載がありません。
  • 見落としやすさと不運の自認が結びついていたとしても、どちらが原因かは分かりません。不運が続いた結果として緊張が強まり、視野が狭くなった可能性も残ります。

言えるのは、「機会に気づくかどうかには個人差があり、運の自認と関係しているかもしれない」までです。「考え方を変えれば良い出来事が増える」とは、この資料からは言えません。

ついてなかった出来事の記録欄

下は、転職活動中の人を想定した編集部の架空例です。実在の受講生の記録でも、この記録欄の効果を確かめた結果でもありません。

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出来事偶然で決まった部分自分で動かせた点次に試す1動作
書類選考に3社続けて落ちた募集枠の数、他の応募者、採用側の事情3社とも同じ職務経歴書を送っていた1社分だけ、募集要項の言葉に合わせて冒頭3行を書き直す
面接の朝に電車が止まり、遅刻した電車の遅延到着予定が開始の5分前だった次の面接は、30分前に着く経路を前日に調べる
気になっていた求人が、見たときには締め切られていた募集期間の短さ求人を見るのが週1回だった新着通知を1件だけ設定する
傘を持たない日に限って雨に降られた天気なしなし。運の話として終わらせる
  1. 出来事を1行で書く。「最悪だった」ではなく、起きたことだけを書きます。書き分け方は事実と解釈を分ける方法にあります。
  2. 偶然で決まった部分を先に書く。ここに自分の能力の話を混ぜません。
  3. 自分で動かせた点を探す。無ければ「なし」と書きます。無理にひねり出すと、運の話に能力を持ち込むことになります。
  4. 次に試す動作を1つだけ決める。今日か明日に終わる大きさにします。
  5. 週に1回、良かった偶然も1件書く。悪い出来事だけを数える集計の偏りを、記録の側で補います。

りゅう自身の例を1つ紹介します。運転中に動物が飛び出し、避けようとして電柱に衝突して、車が廃車になった事故です。同乗者を含め、人に怪我はありませんでした。動物の飛び出しは偶然です。そのうえで本人は、「次に動物が飛び出してきたら、こう動こう」「シートベルトがきちんと締まっているか確認しよう」という教訓を得たと話しています。動物を轢いてしまったことはかわいそうだと感じた、とも語っています。

出来事を「良いことだった」と言い換える話ではありません。本人も「何でもポジティブに考えればよいという話ではありません。」と述べています。偶然の部分と、次に自分が動かせる部分を分けた例として読んでください。

今日できる1動作|いつもと違う選択を1つ

試す回数を増やすといっても、いきなり応募や告白を増やす必要はありません。りゅうが「願うだけ」から抜ける最初の一歩として挙げているのは、目標と直接関係のない小さな変更です。レストランでいつも選ばないメニューを選ぶ、といった例を出したうえで、「いつもと違う行動をとるっていうのが、実は後で効いてきたりするから、それが最初の一歩かなと思う。」と話しています(2026年8月8日の本人回答)。

ワイズマンの記事にも、運がいいと自認する参加者が通勤の道順を変えるなど、日常に変化を入れていたという記述があります。これは参加者の逸話で、道順を変えた人に良い出来事が増えたことを確かめた実験ではありません。

  • 昼食で、いつも選ばないものを頼む
  • 帰り道を1本変える
  • しばらく連絡していない身近な人に、近況を聞く連絡を1通送る

約束できるのは、試した回数が1回増えることだけです。その1回が何かにつながるかどうかには、偶然が残ります。実行する場面まで決めたい人は、If-Thenプランの作り方が使えます。

お祓い・お守り・開運アクションをどう扱うか

否定しません。神社で手を合わせて気持ちが切り替わるなら、それは本人にとって意味のある時間です。ワイズマンは、ボランティアに開運のお守りを数週間持ってもらい、生活の満足度、幸福度、運の実感に変化がなかったと書いていますが、これも先ほどと同じく詳細を確認できない報告です。「お守りは無意味だ」と断定する材料にはしません。

線を引きたいのは、変わらなかったときの説明です。原因を本人の信心や波動に戻し、次の支払いへつなげる説明には注意が必要です。

国民生活センターは2020年、占いサイトで金運や恋愛運の向上をうたうやりとりを続け、結果が得られないまま高額を支払った相談が寄せられているとして、注意を呼びかけました。発表資料には、「波動が乱れているから調整が必要だ」と言われた事例や、「鑑定を最後まで受けないと不幸になる」という引き止めの言葉が載っています。不審に思ったら、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターにつながります。

約束しないこと

この記録を続ければ運が良くなる、とは書きません。脳の働きを知れば良い出来事が起きる、とも書きません。結果には、相手の判断、時期、体調、そして偶然が関わります。

悪い出来事が重なって、気分の落ち込みや眠れない状態が続き、生活に支障が出ているときは、運や考え方の問題として抱え込まず、医療機関や公的な相談窓口への相談を優先してください。この記事は診断や治療ではありません。

周りの運がいい人と自分を比べてつらいときは他人と比べるのをやめたいとき、動いているのに結果が出ないときは努力が報われないときの記録表が近い話題です。

出来事の捉え方と行動の選び方を学びたい方は、脳質改善の無料セミナーの内容を見ることができます。運や成果を保証するものではなく、医療や個別の心理相談でもありません。

よくある質問

運が悪いのは自分のせいですか?

偶然で決まった部分は、あなたの能力や信じ方のせいではありません。りゅうは「運で決まったことに自分の能力を持ち込むと、何年も引きずる」と話しています。出来事を偶然の部分と自分で動かせた部分に分け、動かせた点が見つからなければ「なし」と書いて終わらせてかまいません。

運がいい人と悪い人の違いは、研究で分かっていますか?

心理学者ワイズマンは、運がいいと自認する人のほうが、新聞に大きく書かれた知らせに気づく傾向があったと報告しています。ただし運の良し悪しは自己申告で、確認できた資料は一般向けの雑誌記事です。人数や統計の詳細、どちらが原因かという因果の向きは確認できません。

悪いことが続くのは、何かの前兆やサインですか?

前兆かどうかを確かめる方法を、編集部は持っていません。言えるのは、偶然の出来事は均等には並ばないということです。コインを20回投げると、同じ面が4回以上続く並びは約77%の確率で現れます(表裏が半々のコインを想定した編集部の計算)。続いたこと自体は、裏に原因があることの証拠にはなりません。

お守りや開運アクションには意味がないのですか?

気持ちの区切りとして大切にすることを否定しません。注意したいのは、変わらなかったときに「信心が足りない」などと原因を本人に戻し、追加の支払いへつなげる説明です。不審に思ったら、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターに相談できます。

脳質改善を学べば、運は良くなりますか?

運が良くなるとは約束しません。偶然そのものは誰にも操作できないからです。脳質改善が扱うのは、出来事の捉え方と行動の選び方です。この記事で提案しているのも、見落としを減らすための記録と、試す回数を1回増やす動作までです。

運の話は運で終わらせ、動かせる1つだけ持ち帰る

最近の「ついてなかった出来事」を1つ選び、偶然で決まった部分と、自分で動かせた点に分けて書いてみてください。動かせた点が無ければ、その出来事はそこで終わりです。あれば、次に試す動作を1つだけ決めます。

意識すると見える情報が変わる、という体験の扱いはRASと引き寄せの関係、引き寄せを試して変わらなかった場合の整理は引き寄せの法則は効果がないのかにあります。