先に、この記事の立場

効く、とも、効かない、とも書きません。何に対して、どれくらいの証拠があるかで分かれるからです。 「マインドフルネスは効果がある」という一文は、対象を指定しないかぎり中身がありません。

47試験を調べた研究が、対象ごとに分けています

2014年に発表された系統的レビューとメタ分析は、18,753件の文献を確認したうえで、 能動的対照群を置いた47試験・3,515人を対象に、瞑想プログラムの効果を検討しました。 結果は、アウトカムごとにはっきり分かれています。

  • 中程度の証拠

    不安・抑うつ・痛み
  • 低い証拠

    ストレスや苦痛、精神的健康に関わる生活の質
  • 不十分/効果なし

    気分・注意・物質使用・食習慣・睡眠・体重
同じ研究の中で、この3つに分かれました。「不十分」は「効かないと確定した」ではなく、判断できるだけの証拠が揃っていないという意味です。

中程度とされた不安については、8週の時点で効果量0.38、3〜6か月後で0.22。抑うつは0.30と0.23、痛みは0.33と報告されています。 小さめから中くらいの幅です。劇的に変わる、という報告ではありません。

もうひとつ、押さえておくこと

同じレビューは、比較の相手についても書いています。

瞑想プログラムが、薬・運動・ほかの行動療法より優れているという証拠は見つからなかった。

つまり「瞑想が最も良い方法だ」とは、この研究からは言えません。選択肢の一つとして並ぶ、という位置づけです。

「集中力が上がる」「よく眠れる」と言われますが

よく紹介される効果のうち、注意と睡眠は、上の分類では3つ目の側にあります。 効果がないという低い証拠、あるいは判断するには証拠が足りない、とされた側です。 ここは、宣伝で語られる順番と、研究で示された順番がずれやすい場所です。

マインドフルネス研究そのものにも、定義が定まらないこと、方法論に問題のある研究が混じっていることが指摘されています。 2018年の論説は、誇大な紹介が読み手を誤らせ、失望させうると論じています。 私たちがこのページで数字を細かく書いているのは、そのためです。

脳質改善での扱い

万能の解決策としては扱いません。使うとすれば、自分の反応を観察するための道具の一つとしてです。 脳質改善の最初の一歩は「変えたい場面を一つ選び、そこで何が起きているかを見る」ことなので、 観察という点では重なります。詳しくは脳質改善の方法にあります。

座って呼吸を数えることが合わない人もいます。合わないまま続けるより、 観察の形を変えたほうが早いこともあります。手段のほうを目的にしません。

言えること・言えないことの線引き全体は科学で言えること・言えないこと、 よく語られる主張の1件ずつの検討はよくある誤解の検証にあります。

不調が続いているとき

強い不安、気分の落ち込み、眠れない状態が続いているときは、 瞑想やワークで対処しようとする前に、医療機関や公的な相談窓口へご相談ください。 このページは診断や治療の代わりにはなりません。効果が中程度と報告された領域についても、 医療の代替になるという意味ではありません。